結城紬の特徴
高級品としてよく知られている結城紬。
どのような特徴があるのか見ていきながら、正しい保管方法をしっかり学んでいきましょう。
結城紬の歴史
結城紬は関東平野の中央の築後山を流れる鬼怒川沿いの肥沃な土地で生まれたという歴史を持っている特徴があります。
古くから養蚕が盛んな土地になっています。
結城紬は鎌倉時代から江戸時代まで統治した結城家など武家に多く受け入れられてきたという特徴になっています。
そのため、日本文化を支えてきたという一面を持っているのです。
結城紬はもともと男性用として広まっていったのですが、時代とともに女性用も作られるようになりました。
女性用も作られることになったことにより、生地の質感やデザインなど多様な種類が生まれていった特徴なのです。
結城紬の性質
結城紬は繭からセリシンをぬいた手紬糸が使われているという特徴があります。
そのため、人の手で糸がつむぎだされていることによって、素材の良さを感じることができる最上質の糸が完成しているのです。
結城紬は時間の経過とともに風合いが増してくるという特徴を持っています。
その特徴は、伝統高原品に位置付けられ、重要無形文化財やユネスコ無形文化遺産にも指定されているほどです。
結城紬は軽くて暖かく、さらには丈夫でしわになりにくい性質になっています。
そして、大切に着ていさえすれば、三代着られると言われるほど長持ちするのです。
結城紬と他の紬の違いとは
結城紬の保管方法は、まず脱いだら汚れやシミがついていないかをチェックすることが大切になります。
汚れやシミがあった場合は、すぐに専門業者へもっていくことがおすすめです。
そして、ハンガーにかけ風通しがいい場所に陰干しして体温や湿気という特徴を取っていきます。
一晩ほどそのままにしておきます。
真綿を軽く丸めたもので結城紬の袖口や袂や裾のほこりをとります。
それから、たたんで薄紙をあててから畳紙にしまっていく特徴です。
その後、タンスにしまいます。
このような手順を踏むことで、結城紬を正しく保管することができる特徴になっています。
重要無形文化財結城紬の伝統技法
結城紬とは、茨城県結城地方を中心の産地にする、絹織物です。
国の重要無形文化財に指定されている、高級紬の伝統技法をご紹介します。
結城紬の定義と歴史
結城紬の定義は、その伝統技法と深いつながりをもっています。
国の重要無形文化財としては、次の3つの工程を満たすことが要件となっています。
1点目は糸つむぎ。
すべて真綿から、指先で糸をつむぐことです。
2点目は絣くびり。
防染する柄の部分を綿糸で括ることです。
そして3点目が、織り。
地機で織ることが要件です。
これらの伝統技法すべてが合わさり、結城紬のふんわりとした柔らかさ、軽さを生み出しているのです。
結城紬の歴史は、奈良時代に遡ります。
その頃は献上品としての用途が中心でしたが、江戸時代になると市場にも出回るようになり、最高級の紬として人気を博しました。
そして現代に至るまで、結城紬は様々な人を魅了しています。
その魅力の元となる、3つの伝統技法をみていきましょう。
手つむぎ
伝統技法の1点目は、手つむぎです。
結城紬は柔らかさと軽さが特徴ですが、これは素材の糸に由来しています。
繭を広げ重ねて作った真綿を手でつむぎ、撚らずに束ねたままの形状で糸にします。
そのため空気を含み、柔らかさが生まれるのです。
絣くびり
続く伝統技法は、絣くびりです。
絹糸に墨で印をつけ、その部分を綿糸で縛ってゆきます。
染めの工程において、絹糸のうち綿糸が結ばれた部分だけ、防染され色がつきません。
これによって、結城紬の絣文様をつくりだしていくのです。
絣くびりの作業は細かく、力が入り、たった1人で行わなければいけないため、数ヶ月を要する場合もあります。
結城紬は、このような卓越した伝統技法のもとになりたつ織物です。
織りと、できあがった結城紬の魅力
結城紬の伝統技法、最後は地機による織りです。
地機の特徴は、織る人が織機の一部となることです。
経糸を腰に巻きつけて張りを調整するため、糸にゆとりを生み、結城紬に優しく柔らかな手触りをもたらします。
緯糸も両足と腰を使い織っていく、全身をつかった工程です。
このような伝統技法を経てできあがった結城紬は、時が経つにつれ一層美しさをみせることも魅力です。
洗い、着こみを繰り返しているうちに、工程でついた糊がおち、真綿由来の絹糸の、本来の光沢が現れます。
職人のこだわりと苦労がつまった伝統技法だからこそ、親から子へ、そしてさらに次の世代へと大切に受け継がれる織物となるのです。